2020年12月3日

人はひとつの時代を、ドガーナの岬を通るように、つまり、かなりの速度で通り過ぎる。岬は近づいてきているのに、初めはその姿が見えない。次に、その場所まで来ると、それが突然目に入り、それはそのようにして建てられていたのであり、別な方法で建てられていたのではなかったと否応なく認めざるを得ない。だが、その時にはすでに、我々はその岬を回りきってしまっていて、それを後にして、未知の海を進んでいる。

ギィ・ドゥボール「われわれは夜に彷徨い歩こう、そしてすべてが火で焼き尽くされんことを」(『映画に反対して―ドゥボール映画作品全集〈上〉』)