2022年1月1日

年越しの瞬間は、岩手県花巻市の旅館にいた。布団の上で横になっていた。隣にいるパートナーはiPhoneで韓国のMBC歌謡大祭典を観ていた。テレビの中でカウントダウンが行われ、年越しが宣言される。日本と韓国に時差はないが、回線のせいなのか数秒遅れてiPhoneから韓国の年越しも宣言された。花巻市にいる自分は、タイムラグを伴いながら日本と韓国の年越しを体験している。思えば東京以外の場所で年を越すのは久々だった。

翌朝、チェックアウトを済ませて宮城へ向かう。自分は免許をもっていないので、運転はパートナーに任せきりだった。遠野を抜けて、陸前高田に出る。海沿いまで近づき、道の駅高田松原に到着した。併設されている東日本大震災津波伝承館は、元日だから営業していなかった。海へ近づく。2ヶ月ほど前からなぜか地震のことを考えるようになり、一度この地を訪れておくべきだと思っていたのだった。もっとも、いまの自分に言える/書けることは何もなかったのだが。

この日は結局仙台まで南下し、市内のシティホテルに泊まった。ホテルの部屋から通りを見下ろしているうちに、だんだんソウルにいるような感覚が生まれてくる。北緯38°16’の仙台と、37°34′のソウル。日本と韓国に時差はない。ホンデのL7に泊まっているみたいな気分だ。雪が降っている。チェーンを穿いたバスの走行音だけが、妙に街の中に響いている。